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スマート物流とは「スマートロジスティクス」のことであり、AIやビッグデータ、IoTといったものを活用しながら物流を効率化させることをいいます。
近年、EC市場が急成長しており、配送業界の荷物量が増えました。企業によっては人材不足などの影響により、対応しきれなくなっているケースもあります。
スマート物流を導入することにより、これまで以上に物流が効率化できるようになるため、人手不足や長時間労働の問題解決につなげることが可能です。
スマート物流と混同されやすいものに「物流DX」があります。物流DXとは、物流の分野で役立つデジタル技術・データなどを活用し、業務環境の改善や、より良いサービスの提供を目指すためのものです。
物流DXが最終目的としているのがスマートDXの実現なので、スマートDXを実現する道のりの途上に物流DXがあるといった関係性を持ちます。
物流業界では、多くの課題を抱えています。代表的な課題は以下の8つです。
少子高齢化の影響もあり、物流企業では働き手不足の問題で悩んでいるケースが多いです。十分な人員を確保できている企業は多くありません。
国土交通省の発表によると、トラック業界で働いている人のうち、40~54歳が全体の約45.2%を占めていました。一方で、29歳以下に該当する若年層は、全体の10%以下です。[1]
このことから、業界の高齢化が進んでいるといえます。
現在、人員を確保できている企業であっても、将来的に高齢化が進んで人員不足に陥ってしまう可能性は高いです。
また、少子高齢化以外にも、このあと紹介する荷物量の増大や労働の長時間化、給料の低さなど、さまざまな要因が働き手不足に拍車をかけています。業界全体にとっての大きな課題といえるでしょう。
近年はネット通販が普及しており、荷物量が大幅に増えました。個人がスマホなどのデバイスから24時間いつでも情報を収集し、商品の注文ができるようになっているのも理由です。
また、各種フリマアプリの登場により、個人が配送を依頼するケースも増えています。荷物量の増大に対応しきれない課題があります。
物流業界は長時間労働をしなければ配送が間に合わないケースが多く、深夜労働が求められることも多いです。
特に、荷物を積み込んだり降ろしたりする際に長時間の荷待ち時間が発生してしまうことが問題とされています。1運行あたり1時間を超える待ち時間が発生することも少なくありません。労働の長時間化改善に向けた対策が求められます。
人手不足につながっている大きな原因の一つとして挙げられるのが、給料の低さです。日本の平均年収と比較しても5~10%ほど年間賃金が低いと国土交通省からも報告されています。[2]
荷物量が増大しており、個人が長時間労働で対応しなければならない問題を解決するためには働き手を増やす必要がありますが、賃金の低さもありなかなか求職者が見つからないのも課題です。
物流業界は、生活を支える上で欠かせないインフラを果たしています。そのため、安定して持続的なサービスを提供していくためには、サイバー攻撃などにも備えられるようなセキュリティ対策に力を入れなければなりません。
ですが、思うようにセキュリティ対策ができず、苦戦している物流企業も多いようです。
スマート物流を目指していくために行いたいのが、新たなテクノロジーの導入です。ですが、他業界と比較した際、物流業界のテクノロジー導入は遅れているといわれています。
物流の分野で役立つテクノロジーの開発も進んでいるとは言えない状況です。
地球温暖化などの影響を抑えるため、物流業界では、環境問題へ配慮した取り組みも行っていく必要があります。
例えば、CO2の排出量を抑えるための取り組みです。
特にトラック輸送は環境への負荷が大きくなってしまいます。可能であれば、環境に配慮した車両である電気自動車や天然ガス車といったものを導入について検討が必要です。
ただ、導入のための費用を捻出できず、悩んでいる企業も多いです。
2024年問題とは、働き方改革の一環で年間960時間を超える時間外労働が禁止されることによって発生するさまざまな影響を指しています。人手不足の問題を解決するためには1人当たりの労働時間を延ばす選択肢もありますが、2024年問題によってそれができません。
対応できる荷物の量が減り、売上や利益の減少につながることも考えられます。どのように対応していくかは大きな課題です。
スマート物流の推進によって、物流業界にとっての大きな課題である人材不足の解消と、小口配送に対応できるようになることが期待できます。それぞれのメリットについて解説します。
スマート物流は、人手不足の問題を解消してくれる鍵になります。例えば、物流倉庫内にピッキング作業が可能な自律自走ロボットを導入したとしましょう。
これまで人の手でピッキング作業を行っていた場合、その作業が必要なくなるので、時間効率の良い作業につなげることが可能です。
ロボットが代わりに作業を行ってくれるので、人手不足でも対応できます。さらに、人員がもともと足りていた場合はより重要な人の手で行うべき作業に人手を割けるのがメリットといえます。ピッキング作業は体力を必要とするため、従業員の肉体的な負担を抑えることにもつながるでしょう。
また、ロボットやAIといったIT技術などを活用することによって生産力も高まるのが魅力です。人手不足が原因で対応できていなかった依頼などにも応えやすくなります。
それから、海外を中心としてドローン配送の研究が進んでおり、日本国内でもドローン物流サービスの実現に向けて研究や実証実験が行われている状況です。将来的にドローンを用いた物流サービスが提供されるようになれば、新たな物流体験や利便性向上につながります。
ECサイトで商品を購入する個人が増えたことにより、小口配送の需要が伸びました。ですが、小口配送が増えるのと同時に配送回数も増加することになるため、人件費がかさんでしまいます。
さらに、不在によって再配達が必要になってしまった場合、再配達を含めたルートプランニングを行わなければならず、ドライバーの負担が増えてしまうのは避けられません。
ですが、スマート物流によって、小口配送への効率的な対応が可能になります。例えば、ピッキングロボットの導入によって倉庫業務を効率化させるのも小口配送への対応力を高めることにつながるでしょう。
ドローン配送についても同様で、ドローン配送が国内で本格的に実践されるようになれば、さらに個別配送への対応力が上がります。
スマート物流に取り組むにあたり、物流と商流のデータ基盤を構築すること、それからデータ自動収集の技術を開発することといった2つが欠かせません。それぞれ解説します。
スマート物流のためには、物流の効率化が必要になります。サプライチェーンの上流から下流までをつないだような、高度なデータ連携が重要です。
これは、物流業界において無駄をなくすことにもつながるポイントといえます。構築したデータ基盤によっては、高精度な生産予測や仕入予測を目指すことも可能です。
これによって従業員の最適な配置を考えたり、フードロスの減少につなげたりできます。
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データの自動収集に関連した技術の開発も求められます。例えば、荷台情報や作業情報、重量・採寸情報といったもののデータ収集です。
物流と商流に関連したデータ基盤の構築を行っていくためには、有効なデータを収集しておかなければなりません。そのためにもデータ自動収集の技術開発が必要になります。
スマート物流では、多くのテクノロジーが活用されています。代表的なのは、IoT、AI、ブロックチェーンです。
IoT(Internet of Things)はモノのインターネットのことであり、インターネットを活用したさまざまな取り組みを指す言葉です。
例えば、テレビやエアコン、冷蔵庫などの家電製品をインターネットに接続することによって、遠隔で運転状態や詳細な情報の確認、遠隔操作ができるようになります。
物流では、在庫の一元管理などにも役立てられている技術です。
人工知能であるAI(Artificial Intelligence)もスマート物流には欠かせません。AIにデータの解析などを任せることにより、効率的な配送計画の作成につなげることが可能です。
また、購買データを分析することによって、需要を予測できるので、業務を効率化したり、コストを削減したりできます。これは、在庫や人員配置の最適化にもつながるポイントです。
ブロックチェーンの技術も注目されています。主に業界全体のデータを安全に保護する目的で取り入れられているものです。
ブロックチェーンは、ブロックという単位でまとめたデータを1本の鎖でつなげるように管理されており、物流における生産プロセスであるサプライチェーンの管理に役立ちます。
ブロックチェーンを用いればサプライチェーン全体での情報共有ができるようになるため、過剰に在庫を抱えたり、反対に欠品によって販売チャンスを逃してしまったりするリスクを抑えることが可能です。
いかがだったでしょうか。スマート物流とは何か、どういったメリットがあるのかなどについて解説しました。どのような形で物流に役立つのかご理解いただけたかと思います。
2024年問題に対応するためにも、しっかりとスマート物流を目指していくことが重要です。
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