目次
業務改善に取り組むうえで意識したいポイントは次のとおりです。
日々の業務で3Mが発生していないか確認します。3Mは以下の3つを指します。
| 3M | 概要 |
|---|---|
| ムリ | 現場にキャパシティ以上の負荷がかかっている状態。無理をさせることで、作業品質や作業効率などが低下する |
| ムダ | 現場がキャパシティを持て余している状態 |
| ムラ | ムリとムダが合わさっている状態。タイミングによりムリが発生したりムダが発生したりする |
設定している作業を一定の時間内に終えられない場合はムリが生じている、早く終えて時間が余る場合はムダが生じているといえるでしょう。タイミングにより、ムリとムダが発生する場合は、ムラが生じていると考えられます。人員配置や作業計画をうまく行えていないと3Mは発生します。現場のキャパシティに対して、適切な負荷を設定することが大切です。
物流センターでは、現在も多くの手作業が行われています。手作業につきものなのが人為的ミスです。
具体例として、ピッキングミスや配送先の誤りなどがあげられます。何かしらの人為的ミスが生じると余計なコストがかかってしまいます。したがって、人為的ミスを減らす取り組みも必要です。
ポイントは、発生頻度の高いミスを明らかにしたうえで対策を講じることです。起こりやすいミスは、作業プロセスを可視化すると把握できます。検討したい対策の例として、ピッキングにダブルチェックを導入するなどがあげられます。
コスト削減も、物流センターの業務改善時に取り入れたい視点です。
物流コストは、以下の4つに大別できます。
【物流コスト】
基本のポイントは、現状を把握して削減しやすいコストを見極めることです。
一般的に、輸送費は削減が難しいと考えられています。燃料費など、自社でコントロールできないコストを多く含むためです。
ただし、削減できないわけではありません。たとえば、拠点間で無駄な輸送が発生している場合は、拠点数を見直すことでコスト削減を図れるでしょう。
反対に、荷役費、保管費、管理費は、比較的、削減しやすいと考えられています。自社でコントロールできる人件費を多く含むためです。
3Mの改善などで、削減を図れる可能性があります。検討したい対策の例として、作業量にあわせて人員を調整できるフレキシブルな体制を構築するなどが考えられます。
作業の効率化も意識したいポイントです。生産性を高めたり、物流コストを削減できたりする可能性があります。
さまざまな工程で効率化を図れるため、まずは作業プロセスを明らかにすることが大切です。各プロセスを見直すときは「業務をよりシンプルにできないか」を検討します。
たとえば、業務そのものをシンプルにする、動線をシンプルにするなどが考えられるでしょう。これらにより、作業スピードの向上が図れるうえ、ミスの削減も期待できます。
また、形骸化したルールにも注意が必要です。本来の目的を失っているにもかかわらず、ルールとして残っている作業は少なくありません。
このような作業を取り除くことでも効率化を図れます。
物流センターの業務改善は、どのように進めればよいのでしょうか。
ここでは、業務改善の方法を紹介します。
基本の取り組みとして検討したいのが作業マニュアルの作成です。
ここでいうマニュアルは手引書と説明できます。マニュアル導入のメリットは、誰でも同じ手順で同じ品質の作業を行えるようになることです。したがって、作業効率、作業品質の底上げを期待できます。
個人の能力に依存しない体制を構築できる点も見逃せません。熟練従業員が退職しても、一定レベルの作業品質、作業効率を維持できます。また、新人教育にかかる時間も短縮できるでしょう。覚える業務が明確になるうえ、現場で一貫した指導を行えるためです。作業マニュアルの作成は、積極的に導入を検討したい取り組みといえます。
物流センターのレイアウトは、日々の業務に大きな影響を与えます。
業務改善にあたり、見直しを進めたいポイントです。レイアウトは、入庫口の正面に出庫口が位置するI型と入庫口と出庫口が同じ壁面に位置する(または同じ)U型に分かれます。それぞれの特徴は次のとおりです。
| レイアウトタイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| I型 |
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| U型 |
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現状に適したレイアウトを採用すると、作業効率を高めたり保管量を増やしたりできます。いずれのレイアウトを採用する場合も、業務フローにあわせて一方通行の動線にすることが大切です(従業員の重複を減らすため)。
整理整頓も物流センターの業務改善に欠かせない取り組みです。
整理整頓は、5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の中でも特に重要な取り組みと考えられています。
従業員が自分事化しやすいためです。ここでいう整理と整頓は次の取り組みを指します。
【整理・整頓】
基本的には、整理・整頓の順で取り組みます。整理のメリットは不用品を処分し新たなスペースを確保できること、整頓のメリットはモノを探す無駄などを省き業務効率を高められることです。いずれも、物流センター内で共通のルールを定めて、継続的に取り組むことが大切です。
一定のコストをかけられる場合は、各種システムの導入も検討しましょう。
代表的なシステムとしてあげられるのが、物流センター内で行われる一連の業務を支援・管理するWMS(倉庫管理システム)です。
具体的には、入荷・出荷・在庫・進捗などを管理する機能を備えています。したがって、作業の正確性、効率を高めたり、作業の標準化を進めたりできます。
ただし、導入にあたり、原則として基幹システムとの連携が必要になる点に注意が必要です。ベンダーなどと相談しつつ導入を進める必要があります。
マテハン機器を導入することでも、物流センターの業務を改善できます。
マテハン機器は、荷役作業の負担を軽減する設備といえるでしょう。具体的には、フォークリフト、ピッキングロボット、ハンディターミナル、RFID機器(電波を使用して非接触でRFタグのデータを読み書きする機器)などを指します。
たとえば、入荷・出荷検品にハンディターミナルやRFID機器を活用すると、人為的ミスを減らせるため正確性、業務効率が高まります。また、RFID機器は遠方から箱に入った商品タグを読み取れるため、検品作業にかかる時間を大幅に短縮できる可能性もあります。
適正在庫の維持も、物流センターの業務改善に欠かせないポイントです。過剰な在庫は、物流センターのスペースを圧迫してしまいます。また、余計な保管コストもかかります。ただし、在庫を減らせばよいというわけではありません。
在庫が不足するとチャンスロスが発生します。したがって、必要なモノを、必要なときに、必要な分だけ、出荷できる状態を維持しておくことが大切です。在庫量は、入荷量から出荷量を減じて求められます。適正在庫は、受注から納品までの期間と発注から納品までの期間(あるいは生産にかかる期間)で異なります。PDCAサイクルを回しつつ、商品ごとに適正在庫を評価していくことが大切です。
保管設備の見直しも、物流センターの業務を改善するため見直したいポイントです。
たとえば、新たにラックを導入するなどが考えられます。ラックの基本的なメリットは、物流センターの「高さ」を活用できることと保管している商品を取り出しやすいことです。
ラックには、パレットで保管するときに使用するパレットラック、レールに沿って動かせる移動ラックなど、いくつかの種類があります。物流センターのレイアウトや導入の目的などを踏まえて選択することが大切です。
ここからは、物流センターで業務改善が行われた事例を紹介します。
A社は、ピッキング作業における人為的なミスに悩んでいました。
プリントアウトしたピッキングリストを目視で確認していたため、品番を間違えたり、よく似たパッケージの商品を誤って選んだりすることが多かったのです。
改善策として導入したのがバーコード管理です。目視による確認が不要になったため、人為的なミスは減少しました。作業スピードが向上した点もポイントです。
B社は、腰痛を訴える従業員が多いことに悩んでいました。
主な原因は、重い荷物を上げ下げしていることです。腰痛を訴える従業員が多いと、業務効率や人手不足に悩まされる恐れがあります。
対策として、B社は作業姿勢・動作の指導を行うとともに2段台車を導入して従業員にかかる負荷の軽減を図りました。これらの取り組みにより、腰痛を訴える従業員は減少しています。
C社は、人為的なミスが頻発していることに悩まされていました。主な原因は、属人化している業務が多かったことです。それぞれの従業員が、自己流で検品などを行っている状況でした。対策として導入したのが、作業手順の標準化です。この取り組みにより、人為的なミスの削減に成功しています。また、指導方法の統一により、新人教育にかかる時間も短縮できました。
ここでは、物流センターの業務改善について解説しました。
意識したいポイントとして、3Mをなくす、人為的ミスを減らす、作業を効率化するなどがあげられます。具体的な取り組みとして、マニュアルの作成、レイアウトの変更、各種システムの導入などが考えられます。
現状の課題を分析したうえで、取り組みやすい施策を導入するとよいでしょう。自社に適した取り組みがわからない場合は、物流のプロに相談することもできます。